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2025/08/08
地に足のついた成長支援を。
バリュークリエーションの最前線に立つ丸の内キャピタルの挑戦
株式会社丸の内キャピタル
本質的な企業価値向上に挑み続けるバリュークリエーションの現場。その最前線に立つのが、丸の内キャピタルのバリュークリエーションチームです。今回は、取締役CIOの福﨑様と、バリュークリエーションチームに所属する三沢様、吉川様にお話をうかがいました。

ハンズオンで経営を支えるスタイル、現場との信頼関係構築、そして実行責任までを担う伴走姿勢ー。これからのファンドの支援のあり方には、どんな変化が求められるのか。金融・コンサル出身の3名が語る「現場目線」のバリュークリエーションのリアルに迫ります。
お話を伺った方
福﨑 昇平 様/取締役CIO
旧㈱日本興業銀行(現㈱みずほ銀行)入行後、融資、経理業務に従事。
2003年より ㈱グローバルマネジメントディレクションズ(現㈱KPMG FAS)にて事業再生に係わるアドバイザリー業務に携わる。
2004年より日本産業パートナーズ㈱にて、大企業の事業戦略見直しに伴うカーブアウト案件や非公開化案件を担当、2007年よりゴールドマン・サックス証券㈱戦略投資部ヴァイス・プレジデントとして複数の投資案件に従事。
2009年1月より丸の内キャピタルに参画し、1号ファンドではジョイフル本田、成城石井(取締役)への投資を担当。
ジョイフル本田においては、上場に向けた経営管理体制整備やエクイティストーリー策定、成城石井においては、物流拠点の再構築によるコスト削減や既存店売上高の改善を企図したマーケティング強化策を推進し、投資リターンの実現に貢献。2号ファンドではエムアイフードスタイル、サイプレス、グラニフ、三浦屋、ミスズライフ、AKOMEYA TOKYOを担当し、各案件の投資責任者としてソーシングからEXITまでの一連のプロセスを主導。
2022年12月より取締役CIOに就任、投資委員会議長として、全投資案件の重要な意思決定に関与。
一橋大学商学部卒業
三沢 勝彦 様
戦略コンサルティングファームStrategy&にて、PEファンド向けのビジネスデューデリジェンスやPMIの他、製造業を中心とした幅広い業界向けの全社・事業戦略策定プロジェクトをリード。
Strategy&参画以前は半導体メーカーにて商品企画から開発、販売までを統括。2019年12月より丸の内キャピタルに参画。
東京大学工学部卒業。国立台湾大学大学院修士取得
吉川 大介 様
㈱三井住友銀行に入行後、国内外において日系企業営業に従事。
その後、戦略コンサルティングファーム ボストン・コンサルティング・グループにて、主に保険・金融業界向けに、構造改革・成長戦略・海外事業戦略策定等の多数プロジェクトをリード。
2024年4月、丸の内キャピタルに参画。
慶應義塾大学理工学部卒業
丸の内キャピタルの特徴と進化するファンド運営
―― 丸の内キャピタルの成り立ちと特徴を教えてください。
福﨑 様(以下、敬称略): 当社は2008年に、三菱商事と三菱UFJフィナンシャル・グループの合弁で設立されました。PEファンドとしてはユニークな成り立ちで、立ち上げ当初は、三菱商事、三菱UFJフィナンシャル・グループからの出向者とプロパー社員による混成チームでスタートしています。
私自身も当社設立直後にプロパー社員として参画して投資の実務に携わってきました。
三沢 : その出自ゆえに、事業会社との関係性や信頼が深いことも、他のファンドにはない強みですよね。単に投資をするだけでなく、投資先の企業と一緒に汗をかいて、事業そのものをつくっていける感覚がある。それは、事業会社との信頼基盤があってこそだと思います。
吉川 : PEファンドとしての立場でありながらも、現場の実務に寄り添える距離感というか、“金融と事業の両輪”を意識できるのは、当社ならではの特徴だと感じます。
―― ファンドとしての成長の過程で、どのような転換点がありましたか?
福﨑 : 第1号ファンドは出資者が三菱商事と三菱UFJフィナンシャル・グループに限られていましたが、一定の成果が出たことから、第2号ファンドからは外部投資家の資金を受け入れる体制へと進化しました。
ファンドサイズも2号で約940億円、3号では1,000億円超まで拡大しました。日本のPEファンド業界はプレイヤーが増えてきておりますが、弊社はこれまでの投資実績を通じて、ミッドキャップのプレイヤーとして、一定のプレゼンスも確立されつつあると感じています。
吉川 : 投資家が多様化したことで、“説明責任”や“透明性”が一層求められるようになりました。その中で、投資後の成果をどう見せるか、どう積み上げるかという視点もより明確になっていったのではないでしょうか。
三沢 : 私が感じたのは、外部投資家の視点が入ることで「短期的な成果だけでなく、持続的な価値創造ができているか」ということがより問われるようになってきたこと。その視点は、私たちバリュークリエーションチームの存在意義に直結しています。
―― 外部資金を受け入れて以降、意識してきたことは?
福﨑 : 貴重な資金を託していただいた投資家に対してリターンを提供することが最重要ですが、このビジネスを継続していくために、そのリターンの質や再現性も問われます。私たちが重要視しているのは、投資先企業が継続的に価値を創出できる状態にすること。そのため、投資後の実行支援は特に、組織としてしっかりと設計してきた部分です。
三沢 : 単発のアドバイスではなく、現場で一緒に汗をかいて結果を出すこと。丸の内キャピタルのバリュークリエーション支援は、そのような地道で一貫した伴走が強みだと考えています。
バリュークリエーションチーム誕生の背景とミッション
―― バリュークリエーションチームはどのように立ち上がったのでしょうか?
三沢 : 私は2019年に入社し、バリュークリエーション専任の第一号としてチームを立ち上げました。当時はファンドとしての投資実績が蓄積されていて、「投資後の価値創出をいかに強化するか」が社内の大きなテーマでした。
吉川 : そのうえ、ちょうど投資競争が激化していた時期でもありましたね。買っただけで企業価値が上がる時代ではなくなり、真に“中身で勝負”する必要がありました。だからこそ、投資後のハンズオン支援の質はこれまで以上に問われていたんです。
福﨑 : 私たちが目指していたのは、単に「口を出す」だけでなく、「自らも社員の方と伴走する」支援体制。属人的な支援から、組織的に価値を創出するモデルへの進化が求められていました。三沢さんの参画がその起点になったのは、間違いありません。
―― チームとしてのミッションや役割をどう捉えていますか?
三沢 : 私たちの役割は、投資先企業が持続的に成長できる仕組みを構築することにあります。100日プランの策定から始まり、事業戦略の再構築、経営管理体制の強化、外部人材の登用支援など、必要に応じて深く関与していきます。
吉川 : 投資前の段階から関与することで、DDの段階から「この会社をどう伸ばすか」の仮説が描けますし、その後の実行にもスムーズにつながります。私たちは“伴走者”であると同時に、“変化のエンジン”と言っても良いかもしれません。
福﨑 : ファンドとしてのリターン最大化という使命を果たしながら、企業や経営者にとって「この人たちと組んでよかった」と思ってもらえる存在になること。これは当社の継続的な発展に繋がりますし、それがバリュークリエーションチームの理想像ではないでしょうか。
投資前〜イグジットまで、支援の全体像とは
―― バリュークリエーション業務の関与範囲はどのようなものですか?
三沢 : 我々の支援は、いわゆる「投資後」だけに留まりません。投資検討段階から深く入り込み、ソーシングの段階で候補先の経営者と面談したり、提案書の作成にも関わります。その企業にどういった成長ポテンシャルがあり、どのようなバリュークリエーションが実現できるかを見立てたうえで、投資判断にもインプットしています。
吉川 : 実際、投資実行後には、最初の100日間で集中的に支援プランを構築。体制整備から戦略実行まで、一気通貫で並走します。さらには、成長が軌道に乗ってからも中長期的にモニタリングを続け、必要なタイミングでテコ入れやアドバイスを行います。イグジットの段階では、次の買い手候補への説明準備やストーリー構築も重要な仕事です。
福﨑 : つまり、“投資検討段階から持分売却まで”、すべてのプロセスに関与しているわけです。投資期間中だけ稼働するような単なるインハウスのコンサル部隊という位置づけではなく、我々自身が「この会社の成長に責任を持つ」という強い意思で一気通貫で向き合っています。
―― 実際の支援フェーズや時間軸を教えてください。
吉川 : 支援の前半は、週2〜3日で投資先に常駐し、実務的なサポートまでしっかりと行います。たとえば新規事業の立ち上げ支援や、管理会計の導入、ガバナンスの整備など、顧客ごとにテーマは異なりますが、組織の中に入り込み、社員の方々と一緒に手を動かすことが多いです。
三沢 : 最初の半年〜1年はとにかく濃密ですね。社長や経営幹部と毎週1on1で議論したり、経営合宿を主催して膝詰めで将来ビジョンについて忌憚なく語り合ったり、時には海外拠点を周り現地のキーパーソンとの面談を重ねることもあります。やることが幅広い分、優先順位の見極めと現場との対話力が問われます。
福﨑 : 3年ほどの支援期間のなかで、段階的に自走支援へと切り替えていくのが理想です。単にサポートするのではなく、自走してもらうための「仕組みを残す」「人材を育てる」ことも我々の役割と捉えています。
―― 投資先との関係構築で意識していることは?
吉川 : 人と人ですから、何より「信頼」がすべてではないでしょうか。正論を押し付けても現場は動きません。私たちはあくまで“外の人間”なので、いかに中に入れてもらうか。そのためには、日々の積み重ねが重要です。
三沢 : 私は「自分がまず動くこと」が信頼構築の第一歩だと思っています。例えば、事業計画の作成に悩んでいる経営者がいれば、一緒にExcelを開いて徹底的に伴走します。そうした姿勢で向き合い続けることで、相手は心を開いてくれるんです。
福﨑 : そうですね。業績向上支援を進めるでは、関係構築が重要であることに間違いありません。数字や戦略だけでなく、人として信頼されるかどうか。我々の介在価値はそこにあると思います。
バリュークリエーション支援の醍醐味と難しさ
―― コンサルファームとの違いをどのように捉えていますか?
三沢 : 戦略コンサルでは、3ヶ月〜半年ほどの短期間でスコープが明確に決まっているため、最終的なデリバラブル(成果物)がパワーポイント資料やExcelシートであることが一般的です。そのため、仮説や戦略立案の深さは非常にあるものの、実行までは踏み込めず、その仮説や戦略がどのような成果を生んだのかを見届けられないケースも多いかと思います。
吉川 : 私もコンサル出身ですが、一番大きな違いは“実行責任があるかどうか”だと感じます。ファンドの場合、戦略を描いたら終わりではなく、そこからが本番。戦略が現場で実現できるように仕組みを整え、人を巻き込み、時には現場のマネジメントにも関わっていく必要があるんです。
福﨑 : それに加えて、我々は“投資家”でもあるため、企業価値を高めて最終的にリターンを出すところまで責任があります。絵を描くフェーズと、戦略・施策を実行して成果を創出するフェーズの両方にコミットするのが、最大の違いでしょう。
―― 現場での支援における難しさと面白さは?
吉川 : 難しさで言えば、やはり人間関係の構築ですね。先ほども少し触れましたが、現場の方々にとって私たちは“外部の人間”であり、最初は警戒されることもあります。けれど、何度も議論を交わし、実際に一緒にプロジェクトを進めていくなかで、「この人は本気で会社のことを考えている」と伝わった瞬間、一気に空気が変わるんです。その過程は何度経験しても面白いですよね。
三沢 : 実際、現場の社員の方々と一緒に事業計画をつくり、自律的にPDCAを回してしっかりとした成果を生み出せるよう伴走支援させて頂くと、「ここまでやってくれるんですか」と驚かれることもあります。戦略を作って終わりではなく、組織に定着するまでを支えることで、自分の仕事が血の通ったものになるのを実感します。
福﨑 : 単に投資家としてではなく、“伴走者”としての存在意義が認識されたとき、ファンドのバリュークリエーション業務の醍醐味を感じますよね。
バリュークリエーションの“成果”とは何か
―― これまで印象に残っている支援事例を教えてください。
三沢 : ある製造業の投資案件では、新製品のリリースと営業力の強化を通じて、国内のシェアを大幅に伸ばすことができました。製品改良に加えて営業プロセスをDXしたことで、商談件数と成約率、双方とも向上。結果的に売上は1.5倍近くに成長しました。
また、あるBtoB企業でグローバル経営体制の再構築を担当した際には、3カ国5拠点で分断されていた組織を横断的に整理し、指揮系統とレポートラインを一本化しました。経営の見える化とオペレーションの効率化が進んだことで、意思決定がスピードアップ。売上・利益率の向上に貢献できました。
福﨑 : 投資先のフェーズや課題に応じてアプローチは様々ですが、我々が資本参加する前と比較して、「変わった」「良くなった」と感じてもらえる瞬間が何よりの成果ですよね。それが数字としても、組織風土としても見えてくるとき、自分たちの仕事の意義を実感します。
―― 投資先の変化や成長から得られる喜びとは?
吉川 : 経営陣や現場社員の皆様と具体的な施策を検討・実行し、少しづつではあるものの、着実に成果が出てきた時が一番嬉しい瞬間です。投資先が変わるモメンタムを作り、その姿を見ていくことが、バリュークリエーション担当としての仕事の醍醐味だと思っています。
三沢 : 経営者との関係性の変化も印象的ですね。最初はやや距離があった社長が、次第に「ちょっと相談があるんだけど」と気軽に話しかけてくれるようになったとき、少しずつ信頼いただけてきたようで、嬉しく思います。
福﨑 : 私は企業の“変化”を最前線で体感できるのが、この仕事の魅力だと感じています。外部からではなく、“中に入って”一緒に変えていく。そのプロセスに携われることこそが、私たちのやりがいであり、顧客にとっての価値なのではないでしょうか。
―― 最後に、この仕事に向いている人材像を教えてください。
福﨑 : 一言で言えば「実行力のある誠実な人」ですね。戦略や施策が妥当であることは当然ながら重要ですが、実行が伴わないと、成果に結びつきません。実際に投資先の役職員と伴走して、人と信頼関係を築き、実行度を高められる人。それがこの仕事における成功のカギだと信じています。
三沢 : “自分が正しい”という前提ではなく、“相手とともに考える”姿勢が大切です。どれだけ優れたプランを持っていても、現場を動かせなければ意味がありません。
吉川 : 同感です。論理的思考力やファシリテーション力も必要ですが、それ以上に求められるのは「現場を尊重する力」。上からではなく、横に並んで、一緒に進める覚悟がある方と一緒に働けたら嬉しいですね。

XG Partnersより
丸の内キャピタル社は三菱商事の国内PE事業の中核でありながら、PEファンド、投資銀行、証券会社、コンサルティングファーム出身のプロフェッショナルを中心に構成されており、従来の常識に捕らわれず、柔軟な採用方針があります。
過去にはタカラトミーや成城石井への投資実績があり、最近では2024年に投資した永谷園といったコンシューマー・リテール分野をはじめ、製造業やヘルスケア、ITサービス企業の非公開化やカーブアウト、事業承継案件など、積極的に投資を検討しております。
投資先の海外展開の支援にも注力しており、英語堪能な方は、海外子会社のロールアップなどで英語活用の機会が増えます。
丸の内キャピタル社のバリュークリエーションチームは、経営支援の最前線で本質的な企業価値向上に挑み続けています。金融・コンサル業界で培った知見と実行力を、よりダイナミックに発揮したい方にとって、丸の内キャピタル社のステージは大きな挑戦と成長の舞台となるのではないでしょうか。
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