インタビュー記事ページ
2023/10/24
業界平均の約5倍。
投資先企業の50%近くをIPOまで導く異例のPEファンド
「中堅・中小企業の持続的な成長を支援する」ことを目標に、ファンドの運営を行っているMCPキャピタル株式会社。前身である旧みずほキャピタルパートナーズは2000年の創業であり、20年以上の運営実績を持ちながら、2021年に分社独立し、現在まさに第2創業期を迎えている。
決して変わらないDNAと20年超の輝かしい実績。そして新会社としての変革と挑戦。今このタイミングだからこそ得られる成長機会について、代表取締役である佐藤正秀氏に伺った。
Profile
MCPキャピタル株式会社 代表取締役社長 佐藤正秀(さとう まさひで)
1994年にみずほ銀行(旧第一勧業銀行)に入行。約10年間グループ国内外拠点や米国CIT Group, Inc.等で財務アドバイザリー、コーポレートファイナンス、アセットファイナンス業務を担当。2005年にMCPパートナーズ(旧みずほキャピタルパートナーズ)に参画してバイアウトファンドの代表を務めた後、2021年のMCPキャピタル設立とともに代表取締役社長に就任。
※内容や肩書は2023年10月の記事公開当時のものです。
支援期間も、IPO比率も、業界平均を大きく上回っている
―― 貴社はいわゆるPEファンドですが、同業他社と比較した際の特徴はどんなところでしょうか?
佐藤:当社は、「中堅・中小企業の持続的な成長を支援します。」という経営理念を掲げており、ここが全ての土台であり出発点になっています。ファンドという業態はどうしても、お金が儲かればそれでいいんだろうという見方をされることが多いですよね。
しかし私たちはそうではなく、経済的なリターンは当然出しつつも、中小企業の成長を支援することを第一に考えています。しかも短期的な成長ではなく、継続して成長していける体制や仕組みを作ることに重きを置いており、これを実現することで社会に貢献することが使命です。
この理念が実際のビジネスにどう反映されているかと言いますと、まず、投資先企業を支援する期間が長い。平均的なファンドの株式保有期間は約3年ですが、当社は多くの投資先企業を5年以上かけてご支援しており、長い企業では8年というケースもあります。
事業を変革しようと思えば、それなりの期間は必要です。2、3年で大きな結果が出ることはまれでしょう。やってみて失敗して、またやってみて失敗する。そうしたステップを繰り返し実施しなければ、持続的な成長を実現することは難しいと考えています。
――実際に貴社の投資先企業は大きな成長を遂げておられるのでしょうか。
佐藤:はい。ファンドによる支援を卒業する場合、大きくは2通りの選択肢があります。1つはどこかの大企業の傘下に入って、グループとしてやっていく方法。もう1つは上場企業になるという方法です。
一般的なPEファンドの平均値を見ると、IPOに至るケースは9%程度と認識していすが、当社の場合は50%近くの投資先企業が株式を上場しています。われわれの理念に基づき、多くの投資先企業が成長を果たした結果が、このようなはっきりとした差になって表れているのではないでしょうか。
上場企業になると業績も公開されます。当社を卒業して上場した後も、持続的な成長を遂げている企業を見るとうれしく思います。
――IPOが業界平均の約5倍ということですね。それは本当にすごい数字だと思いますが、なぜ貴社ではそこまで企業を成長させることができるのでしょうか?
佐藤:なかなか一言でご説明するのが難しくて、これとこれをやれば必ず成長するというような秘訣があるわけではありません。日々の考え方や行動の積み重ねだろうと思います。
例えば何か課題が出てきたときに、もう数カ月後にエグジットするからいいやと思ってしまうのか、持続的な成長に向けて考え抜いて解決策を提示するのか。そういったスタンスの違いが、最終的な結果に反映されるのではないでしょうか。
当社はそこまで寄り添ってご支援するカルチャーが根付いていますし、新たに入社するメンバーもこの理念や考え方に共鳴してくれる方々を仲間として迎え入れているので、今後もこうした方針がぶれることはありません。
リスク管理は徹底しつつ、スピーディーに意思決定できる体制へ
――貴社は2021年にみずほ銀行から独立されています。この背景や狙いについてお聞かせください。
佐藤:PEファンドを含むアセットマネジメント業界においては、近年フィデューシャリー・デューティーが重視されています。私たちは、投資家の皆さんから資産をお預かりして、そのお金でファンドを運営しています。つまり、投資家の方々のために全力で働くことが求められているわけです。
ところが特定の第3者が株主だと、投資家のために働いているのか、株主のために働いているのかが、外部からは分かりづらかったんですね。そうした課題をクリアするために、みずほさんとの資本関係を見直したという経緯です。
――独立してからはどんな変化が起きているのでしょうか。
佐藤:さまざまな側面から変革を進めています。社名も変わりましたし、人事の体制や評価方法なども、よりPEファンドに適した形に変更しました。
また、銀行の子会社であった時代は守りの意識が強かったと思います。新しいことにチャレンジしようとすると、オペレーションも煩雑でコストがかかる構造だったのですが、このあたりもかなりシンプル化しました。もちろん投資する上でのリスク管理は徹底していますが、複雑性を排除することでスピーディーに動きやすくなっています。
ただ、これだけ少人数な組織ですし、独立分社して間もないので、全てがそろっている環境ではありません。不足しているものや制度もまだまだありますから、そういった部分を一緒に考えていきたい、自分で会社を作り上げていきたいという方に来ていただければうれしいですね。
――その他にも、若手人材に求める要素があれば教えてください。
佐藤:やはり、中小企業の持続的な成長を支援するというわれわれの理念に共感してくださること。その達成に向けて、地道にやり続けられるということが第一のポイントです。
その上で、今申し上げたように発展途上のステージにある会社を良くしていくことにやりがいを感じられること。道中では色々な問題も起きると思いますが、一緒に乗り越えて、長く働いてもらえればと思います。
――経験や知見はそこまで求めないということでしょうか?
佐藤:難しいところですが、財務諸表を見ても何がなんだか分からないという状態だと、スタートするのは難しいかもしれません。PLやBS、キャッシュフローを理解するベースはあった方がやりやすいと思いますが、そこまで高いレベルではなくても大丈夫です。
それに、私も含めて誰しも得意不得意はありますから、足りない部分を随時キャッチアップするために努力する姿勢や考える力を、より重視したいですね。
入社初日から、1人のプロフェッショナルとしてリスペクトするカルチャー
――入社した後は、どのようなステップで成長していくことになるのでしょうか?
佐藤:当社での成長ステップは、一本道ではありません。本人の適性や案件の状況も加味した上で、最適な階段の上り方を一緒に考えていきます。ただし中期的には、PEファンドの投資プロフェッショナルとして必要なプロセスを全て経験していただくことが前提です。
案件を見つけてくるオリジネーション、投資を実行するエグゼキューション、投資後のバリューアップ、そしてイグジット。今日はバリューアップにフォーカスして話をしてきましたが、そこはあくまでPEファンドの仕事の1つに過ぎません。最初にどこから学ぶかはその都度決めていきますが、最終的にはバランス良く経験して、プロフェッショナルとして独り立ちしていただきたいと考えています。
――投資実行とその後のバリューアップはチームが分かれているPEファンドも多いと思います。貴社ではなぜ分業体制を取っていないのでしょうか?
佐藤:プロフェッショナルといえど、やはり1人の人間です。ある日突然「この会社の成長に全力を尽くせ」と言われても難しいのが現実でしょう。案件発掘からステップを踏んで、深くやり取りをする中で人間関係ができてきて、この人たちのために一生懸命やろうと心から思えるようになる。逆もしかりです。投資先企業の皆さんとしても、入り口から出口まで同じ人間が担当してくれる方が、安心感もあるはずです。
つまり、われわれの理念を体現するためには、分業体制は適していない。そうした考えから、1人が全て担当できるようにしています。誤解のないように補足しておくと、個人個人に全フェーズを経験してもらいますが、案件自体は通常3人程度のチームで進めていきます。同じチームで、最初から最後まで担当するということです。
――なるほど。他に働き方やカルチャーといった観点で貴社の特徴はありますか?
佐藤:新しく入ってくれた人も含めて、1人1人を投資のプロフェッショナルとしてリスペクトしたいと思っています。ですから、朝何時から働いてとか、この時間はどの業務をしてとか、細かく管理することはありません。全員が自らのモチベーションで、自ら考えて行動する集団でありたい。行動を管理するようなプロセスを最低限に抑えている点は、当社の特徴の1つです。
また、個人よりもチームを重視するカルチャーになっています。私個人の好き嫌いでもありますが、個人の利益を優先する動きが好きではありませんので、それも影響していると思います。
――最後に、今後のキャリアを検討中の方々にメッセージをお願いします。
佐藤:この業務は、広範囲な知識や経験を必要とするので、少なからず大変なこともあるでしょう。特に当社の場合、入社して間もない頃からさまざまな仕事をお任せすることになります。チャレンジングな環境だと思います。ただその分、知識やスキルだけでなく、人間としても成長できる機会が多いことは間違いありません。
先ほども申し上げた通り未成熟な会社ですが、われわれと一緒により良くなるように改善を重ね、その先にある成長や成功をぜひ分かち合いましょう。
ファンド専門エージェントの視点 ―MCPキャピタル独自の強みー
Profile
XG Partners CEO/Consultant 蓮子哲也(はつし てつや)
2005年にヘッドハンターのキャリアをスタートさせ、ファンド転職の専門エージェントとして実績を積む。2023年、日本発のGlobal Executive Search会社を作るという目標を叶えるため、XG Partnersを設立。
――多くのPEファンドを支援してきた蓮子さんから見て、MCPキャピタルさんの強みはどんなところだと思いますか?
蓮子:1つは佐藤代表がおっしゃっていた通り、エグジットする上でIPOの実績が非常に多いこと。さまざまなファンドが「ハンズオンで成長を支援します」と謳っていますが、ここまでの数字は他に見たことがありません。本当の意味で、真摯にサポートしていることの証左だと思います。
もう1つは、大企業からのカーブアウト(※)案件が多いことです。近年は新興ファンドも増えていますが、そのほとんどが中小企業向けで、事業承継をテーマとしています。この規模でそこまで大企業との信頼関係があるという事実も、他のファンドとの差別化ポイントですね。
※大企業や中堅企業が事業の一部を切り出して、新会社として独立させる手法
また、私のご紹介で入社した方からは、若手の裁量が非常に大きいと聞いています。早い方だと、2年目には投資実績ができたとおっしゃっていました。他のファンドでは、若手のうちは一部の業務をサポートする役割になることも多いので、しっかりと経験が積める裁量の大きさもMCPさんならではの魅力です。
――MCPキャピタルにはどんな人が合うと思いますか?
蓮子:面接では、ハードとソフトの両面でしっかりと見極めておられる印象です。過去の経験や実績に加えて、新たな領域も学んでいく素直さや謙虚さ。そういった能力を持ち合わせている方が、マッチするのではないでしょうか。
みずほ銀行さんの子会社だった時代から20年以上の歴史があり、IPOやカーブアウトの実績も多く持っている。一方で、2021年に分社独立されて、経営の自由度が上がっている。老舗のファンドでありながら、新しく生まれ変わった転換期だと言えるでしょう。いい投資案件に巡り合う機会が豊富にあり、裁量を持って仕事に打ち込みながら成長できる素晴らしい環境です。興味のある方は、ぜひチャレンジしてみてください。