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2024/08/29
プロが教える転職エージェントの選び方~ファンド(蓮子哲也)
心強い伴走者になってくれることが多い一方で、時に足枷にもなり得る転職エージェント。
「プロが教える転職エージェントの選び方」では、Liigaエージェントクチコミで高い評価を受け、多数の求職者から厚い支持を得ているエーェントに支援の考え方や特徴、その方自身が考える「求職者にとって良いエージェント像」などを語ってもらっています。
今回は、金融業界(ファンド)の転職支援を得意とする蓮子哲也氏のインタビューです。
Profile
蓮子 哲也(はつし てつや)
XG Partners株式会社 代表取締役
2005年にヘッドハンターとしてのキャリアをスタート。20年にわたり、一貫して金融分野を中心に転職支援を行う。また、大手日系人材紹介エージェント在籍時に香港オフィスの立ち上げと責任者を担い、香港で7年を過ごす。2023年にXG Partnersを創業。これまで支援した候補者は1,500人以上。2024年度Liiga Professional Agentにも選ばれている。2024年8月2日現在のLiigaエージェントクチコミ評価は4.2(94件)。
目次
支援領域と転職エージェントとしての想い
支援領域と転職エージェントとしての想い
私は2005年にヘッドハンターとしてのキャリアをスタートし、そこから一貫して金融分野を中心に支援をしています。独立前は2つのエージェント会社に所属し、1社目では香港オフィスの立ち上げとその後の責任者として、7年を香港で過ごしました。2023年にXG Partnersを設立しています。
現在支援しているのは、主に投資銀行、戦略コンサル、ファンド出身の方です。紹介求人は外資系投資銀行やPEファンド、VC、ヘッジファンド、総合商社など幅広く扱っています。
特にファンド業界への転職支援には自信があります。
候補者の年齢も20代後半〜40代と幅広いです。転職先の傾向は年代ごとに違いがあり、以下のような印象です。
- 30代前半まで:外資系投資銀行やファンドへの転職が多い
- 30代:ファンド、商社、同業間の転職が多い
- 40代:同業間の転職が最も多い。時に職種チェンジで事業会社に行く方も
人生のキャリア伴走者でありたい
私は20年エージェント業に身を置いていますが、業界には「候補者の長期的なキャリアを見据えた支援ができるエージェントが少ない」と感じています。エージェント業では一人ひとりが特定の分野に特化して支援することが多く、複数の業種における情報提供をできないことが多いからです。
それに対して、転職者のキャリアの描き方は多様です。たとえば20代でコンサル業界や投資銀行業界などプロファーム※に入り、その後、プロファームでの経験を生かしてファンドを目指したり、事業会社のCXOポストを目指したりする方もいます。特に、プロファームの方々は「自分の市場価値を高めたい」という方が多いです。
このようにエージェント業界の現状と転職者のニーズにはギャップがあり、転職者のニーズを満たせる存在は多くありません。だからこそ私は幅広い求人を扱い、候補者のキャリアを長期間にわたってトータルで支援できる「人生のキャリア伴走者」になりたいと思っています。1回の転職に留まらず、それ以降のキャリアを線でつなぐような支援を心がけています。
※戦略系コンサルティングファームや投資銀行、ファンドなど高度な専門知識や専門的サービスを提供する企業、組織のこと。
本当に良い転職しか勧めない
支援にあたっては「本当に良いと思える転職しか勧めない」ということも心がけています。弊社からアプローチできる企業は300社以上あり、こうした企業に応募する場合は、もちろん多くの情報やアドバイスを提供しています。しかし、私がアドバイスするのは弊社案件に留まりません。
他社が扱っている求人についてもアドバイスをしますし、他社紹介の求人の方が魅力的だと思えば、そちらを薦めます。
このように、私は徹底的に候補者の職業選択の自由を実現するようにしています。
私の転職支援の強みや特徴
豊富な求人情報数と新鮮な情報
私の強みの一つは、豊富な求人情報数と新鮮な情報という、「量と質」を兼ね備えていることです。
量の観点では、先ほどもお話したように300社以上のクライアント企業を有しています。内訳は、ファンド関連が200社、投資銀行・FAS関係が30社、事業会社やコンサル系が70社ほどです。
一方の質ですが、たとえば弊社では各社の特徴はもちろん、「面接におけるキーマン」や「対策情報」といった選考に関わる詳細情報も提供しています。自分で企業を回ることに加えて、独自のネットワークを使い、さまざまな情報を多角的に集めています。
香港で学んだ営業の姿勢
私がこれだけ多くの求人や企業の詳細情報を持っているのは、香港で働いていた時の経験が生きているからだと思います。
香港オフィスのエージェントは8〜9割が日本人以外でしたが、彼らはとてもアグレッシブで、未経験の領域などでも「できます」「私に任せてください」と言う人ばかりでした。
多少分からないことがあっても果敢に挑戦し、自信を持って企業や求職者と接する。その姿は大きな刺激になりました。この経験を胸に、私は日本に帰ってきてから企業を地道に回り続けました。だからこそ、今では弊社内で幅広い求人を揃え、特にファンドに関しては常に新規参入ファンド情報を把握するようにして、多くの企業の話を聞くことができています。
難しい求人が多い中でも高水準の平均書類選考通過率
一流企業などの難しい求人が多いなかでも、私が支援する方の平均書類選考通過率は30%以上です。
これを実現している要因の一つは、紹介する企業の厳選です。
企業の提案では、企業が求めるスキル・経験、求職者が求める条件などの言語化された要件のマッチングはもちろんのこと、社風や求職者の雰囲気など、言語化が難しい部分までマッチした企業を紹介するよう心がけています。
また、エージェントによっては軽視しがちな推薦状も、レジュメに書いていない部分をできる限り盛り込み、候補者の強みや特徴を最大限に引き出す資料として活用しています。
たとえば通常はキャリアとしてカウントしないインターンシップの話でも「具体的にこのような業務をして、正社員と全く変わらない仕事をしていた」など、より具体的な推薦ポイントを記載します。他にも「業界で著名な〇〇様の部署で鍛えられていた」「第三者的に見て、この会社のこの部署は花形」など、候補者が自分で書くと角が立ちやすい情報も書くようにしています。
海外でのキャリア開発も支援
香港での経験が今の私に活かされているように、海外での経験は個人に大きな影響を与えます。さらに言えば、その個人の成長は企業や日本経済にも還元されるものだと思います。
だからこそ、日本にいる優秀な方々にはどんどん海外で活躍してほしいと考え、私は海外でのキャリア開発支援にも力を入れています。
現在弊社では、香港とシンガポール※の拠点を開設しています。求人数はまだ多くありませんが、欧米系や中華系、中東系などの現地企業を中心に海外求人を扱っています。
※シンガポールの拠点は2024年6月末現在開設準備中
転職エージェント利用のメリットと気を付けてもらいたいこと
交渉を含め、聞きにくいことを聞いてもらえるのがメリット
転職エージェントを利用するメリットとしては、上述のような選考対策の提供や、Webでは探せない情報の収集などに加えて、直接企業に言いづらいこと・交渉しづらいことを丸ごと伝えてもらえる点が挙げられます。
たとえば自己応募の場合、「面接結果が来ない」といった時であっても問い合わせをしづらく、求職者としては不安や不都合もあるでしょう。一方エージェントを利用していれば、選考の進捗具合の確認などはもちろん、結果が出た後のフィードバックなども聞いてもらえます。
他にも「面接日程を早めたい/遅らせたい」など、相談しづらいことも全部エージェントが代わりに交渉してくれます。
持っている求人しか紹介してもらえないことがリスク
エージェント利用の最大のリスクは、そのエージェントが持っている求人しか紹介してもらえないことです。本当はもっと他に選択肢がある場合も、求人紹介を受けられないばかりにチャンスを逃してしまう可能性もあります。
特にファンド業界では、ファンドの総数が多いために求人を網羅できていないエージェントが多いです。
私が考える「求職者にとって良い転職エージェント」の特徴や見極め方
①持っていない求人について正直に話してくれるエージェント
転職エージェントは、転職を成立させることでクライアント企業から成果報酬を受け取ります。そのため、多くのエージェントは「自社が紹介した求人から転職先を見つけてほしい」と考えがちです。
そうした中で、自分が持っている/持っていない求人を正直に話せるエージェントは、信頼できると思います。
エージェントの中には、自分が持っていない求人の問合せに対して「そこは今募集をしていない」「あの企業はこういう点が悪いからやめた方が良い」など、求職者に誤った情報を流したり、マイナスイメージを与えたりする方もいるようです。
②長期的なキャリアの相談に乗ってくれるエージェント
エージェントに売上が立つのは、転職した後。だからこそ、目先の利益を重視するエージェントは、すぐに転職する意向がない人の面談を受けたがりません。たとえばMBA取得後のキャリアの相談だと、転職は基本的に2年後の話です。利益重視のエージェントは、面談を受けてくれないでしょう。
反対に、目先の利益より候補者の長期的なキャリアを考えるエージェントなら、1年後や2年後に関する相談でも、面談を実施してくれます。
「人」だからこそ生み出せる介在価値が重要
今後は世に出回っている求人情報をChatGPTなどが拾い、それを皆さんに届けるような便利な社会になっていくと思います。AIがさらに発達すれば、求人情報の提供に留まらず、レジュメ添削や面接アレンジもできるようになる可能性があります。
ただし、コンピュータは今ある情報を理解できても「社風的にどの企業が候補者に合うのか」「どうすれば候補者が理想とするキャリアに早くたどり着けるのか」といったことは分かりません。候補者の転職感や人柄を含めてキャリアは十人十色であり、そこに決まった答えはないからです。
エージェント業では、「人」だからこそ生み出せる介在価値の追求が重要です。長期的なキャリアを見据えた面談や求人紹介、インターネット上にない情報の提供、候補者の魅力を引き出す推薦状なども、エージェントの介在価値だと私は思います。
私が考える「求職者が避けるべき転職エージェント」の特徴や見極め方
早く応募するよう急かすエージェント
「早くレジュメを提出して」「早く応募して」と言い続けるエージェントは、候補者本位でないエージェントだと思います。
エージェントからレジュメを送ると、原則として企業はその応募者について他のルートでなく、そのエージェントを通して選考しなければいけません。そのため、エージェント側は自社からレジュメを送りたいのです。
しかし、常に急かしてくるエージェントに、あまり良い方はいないという印象です。
私が考えるLiigaエージェントクチコミの活用ポイント
※2024年8月2日時点の蓮子氏エージェントクチコミページより
「1」や「2」の評価はあって当たり前
エージェントの口コミには、「1」や「2」の評価があって当然だと考えています。
どんなに誠実に候補者と向き合うエージェントでも、「候補者の希望に合う求人がない」といった理由で求人紹介に至らないケースはあります。こうした場合に「求人を紹介してもらえなかった」「対応が悪かった」といった悪い口コミを書かれることは、少なくありません。私自身も「完璧な対応をすべての転職希望の方に提供できている」とは言えません。
低い評価が何件かあっても「この人は良くない」とすぐ判断せず、他の口コミも確認した上で利用を検討することが大切です。
「具体的な内容」を見るのがおすすめ
口コミでも大切なのは中身で、特に高い評価でも「具体的な内容が書かれているかどうか」を見るのがおすすめです。
たとえば身内が書いているような口コミは、誰でも書けてしまう、具体性に欠けた内容が多いです。
反対に「この人の何が良くて、どこが強かったか」と具体的に書かれたコメントは、候補者の生の声であり、こうした口コミが多く集まっている人は良いエージェントだと思います。
Liigaエージェントクチコミの蓮子氏の評価
" 面接官個人のパーソナリティ含め、細かい情報までご提供頂いた。その時点で情報が少なくても、コネクションを駆使して情報を入手いただいたアプライ先もある。 " (社会人11年以上 / 利用時期2023年)
" 未経験の人間におすすめできるファンドや、バックグラウンドに応じた求人の紹介をして頂き、大変ありがたかった。また、求人が出ていないファンドについても、先方にニーズがあるか確認してくださり、様々な面接を設定頂いた。ファンドとの個人的なパイプがあるからこそできる動きであり、凄いと思った。 " (社会人11年以上 / 利用時期2023年)
蓮子氏のクチコミをもっと読む|Liiga
求職者へのメッセージ
その人に寄り添った支援を徹底
冒頭でもお話したように、私は一過性の仕事として転職を支援するのではなく、生涯を通じたキャリア伴走をしたいと思っています。これまでの「一般的なエージェント」とは異なる存在、「そういう人ってあまりいなかったよね」と言われるような存在になりたいです。
だからこそ、私は「早くレジュメを送ってほしい」「この求人しかないからとにかく受けてください」といったアドバイスはしません。全体的なバランスを見て良いと思う選択肢を伝えますし、時には「今は転職しない方が良い」といったアドバイスもします。1〜2年スパンの長期的な支援、さらにその先の支援も、もちろんお付き合いしたいと思っています。
多くの選択肢から最適な一択を、そしてその後の支援もお任せください
現在、プロファームにいる方への求人は圧倒的に増えてきています。本当に多くの選択肢があるからこそ、プロファーム在職中の方は、支援の中で最適な選択肢をじっくり一緒に考えていきたいと思っています。
これからプロファームに入りたい方も、こうした業界に入れば、キャリアとして幅広い展望が開けます。しっかりとしたアドバイスを施して転職を支援したいと思いますし、プロファームに行った後のキャリアも最適なものが見つけられるような体制で、支援をさせていただきます。
私一人では限界もありますが、当社XG Partnersでは転職希望者の方に幅広い選択肢を提供できるよう、強力なチーム体制で今後も尽力してまいります。
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