インタビュー記事ページ
2026/06/19
【CEOインタビュー】経営課題の最前線に挑む
――AI時代に求められる新しいコンサルティングファームの姿
インタビュー登壇者
創業者・代表取締役 前田氏
大学卒業後、新卒で大和証券株式会社に入社。
その後は、大手コンサルティングファーム3社で金融業界を中心に、DX・IT、業務改革の各種案件を推進。
前職のストラテジーテック・コンサルティングでは、執行役員として、自社の経営(経営方針の策定、各種機能戦略の策定・推進、各制度・スキームの構築 等)にも参画。また、IT・ハイテク、金融、通信、製造業界等のリーディングカンパニーに対するアカウントセールスや幅広い業界の戦略・DXプロジェクトの責任者として従事。
2026年4月から株式会社Speeeの100%子会社として、株式会社Frontegrity Consulting(FTC)を設立し、代表取締役に就任。
インタビュアー
野口 智弘(XG Partners)
髙橋 裕幸(XG Partners)
「大手ファームで培った経験を、もっと経営に近い場所で活かしたい」「創業フェーズの組織で裁量を持って挑戦したい」。
そんな想いを持つコンサルタントにとって、新たな選択肢となり得るファームが2026年6月に誕生しました。
本インタビューでは、創業の背景や事業戦略、AI時代におけるコンサルティングの価値、そして同社が求める人物像について、創業者の前田様にお話を伺いました。
1. 創業の背景とSpeee社との戦略的パートナーシップ
―― 前田様、本日はお忙しい中ありがとうございます。まず、このタイミングで新たなコンサルティングファームを創業された背景についてお聞かせいただけますでしょうか。
前田 様(以下、敬称略): こちらこそありがとうございます。創業を決意した背景には、大きく3つの理由があります。
一つは、自身の市場価値が次のステップに進む時期にあると感じたことです。これまでの経験を通じて、様々な方面から期待や機会をいただく中で、自ら事業を率いる立場へ挑戦すべき時期だと考えました。
二つ目は、前職で創業メンバーとして事業成長に携わる中で、最終的な意思決定者ではない立場から「キャリアの天井」を感じたことです。経営に深く関わりながらも、やはり創業者ではない立場での限界が見えてきた。自分自身がトップとして意思決定し、責任を持って事業を成長させたいという思いが強くなりました。
そして三つ目は、事業会社、大手日系・外資系ファーム、新興系ファームという多様な環境で得た経験の「良いところ」を融合させ、全く新しいビジネスモデルを経営者として社会に還元したいという強い想いがあったからです。
―― 非常に明確な創業の動機ですね。今回の創業において、Speeeグループとの戦略的パートナーシップを選ばれた理由は何でしょうか?
前田: パートナー選定においては、単なる資本関係ではなく、親会社との相性や経営者のお人柄、そして弊社のビジョンへの深い理解を大前提として重視しました。また、私自身がこれまでフロント業務を中心にキャリアを築いてきたため、バックオフィス機能については専門組織の支援を受ける方が合理的だと判断しました。Speee社の持つ経営基盤や管理機能を活用することで、事業開発や顧客支援に集中できる環境が非常に魅力的でした。
2. 既存コンサルティング業界の課題と独自の事業戦略
―― 貴社が既存のコンサルティング業界に感じている課題と、それに対する独自の事業戦略についてお聞かせください。
前田: 現在のコンサルティング業界には、主に3つの課題があると感じています。
一つは、新卒や未経験者を大量に採用することで、デリバリー品質が低下している点。二つ目は、採用費や人件費の高騰により、クライアントへのフィーが高騰し、費用対効果が見合わなくなってきている点。そして三つ目は、多くのファームが特定のビジネスモデルに固執し、硬直化している現状です。
―― それらの課題に対し、貴社はどのように差別化を図っているのでしょうか?
前田: 弊社は「ピュアなコンサルティング」に特化した独自の事業ポートフォリオを構築しています。具体的には、昨今においては一般的なコンサルティングビジネスモデルである「ベイカレクローンモデル」に加え、新興系ファームの特徴を生かした事業戦略やDX・ITの企画構想といった「上流案件」、そしてMBBやBIG4の戦略チームが手掛けるような「ハイレイヤー・高難度案件」の3つの領域を中心に展開しています。特に、私たちのカウンターパートは企業の役員層トップ3、つまり創業者、会長、社長、CXO、執行役員、本部長クラスです。
―― 経営トップ層が対象なのですね。多くのコンサルティング案件は課題が定義された後に始まりますが、貴社のアプローチは異なるのでしょうか?
前田: まさにその通りです。多くの案件が課題定義後に始まるのに対し、弊社はまだ言語化されていない、定義が未成熟な経営アジェンダに対し、初期フェーズから深く入り込み、実行までシームレスに伴走します。クライアントが一番悩んでいる、しかし予算がつきにくいような初期段階から関わり、変革が止まらない状態を創出することを目指しています。このアプローチにより、上流案件やハイレイヤー案件では競合がなく、RFPやコンペなしで受注につながっているケースも少なくありません。また、大手ファームではセールスとデリバリーがコンサルタントの役職で分業されていることが多いですが、弊社ではコンサルティングセールスを行ったコンサルタントがそのままデリバリーも担当し、顧客を深く理解した一貫したサービスを提供しています。
3. AI時代におけるコンサルティングのポジショニングと戦略
―― AIの進化が著しい現代において、コンサルティングの役割はどのように変化するとお考えですか?貴社のビジネスはAIに代替されないのでしょうか?
前田: AIはデータや現場の状況等のインプットがなければアウトプットを出せません。我々はAIがアウトプットできない「未定義を定義する」手前の段階から案件に取り組んでいるため、ビジネスがAIに代替されることはないと考えています。AIが得意なのは「定義された問題への回答」であり、「何を解くべきかを定義すること」は依然として人間の役割です。
―― AIをどのように活用していくのでしょうか?
前田: 人員戦略としては、AIに代替されやすいリサーチ業務を行うジュニア層の採用は慎重に行い、経験豊富なビジネスパートナーの活用を重視しています。一方で、課題が整理され「未定義」が「定義」された後の実行フェーズでは、AIやテクノロジーを積極的に活用し、業務効率化を図る方針です。クライアントの経営アジェンダにもAIが組み込まれることが多いため、AI関連のプロジェクトは今後も増えていくでしょう。セキュリティを担保した上でのAI活用は積極的に進めていく意向ですし、社内でのAI活用に関するナレッジ構築や、社内BPRを推進したい社員がいればプロジェクトとして支援する機会も提供します。
4. 創業期ならではの組織、キャリアパス、そして成長目標
―― 創業期ならではのキャリアパスや成長機会について教えていただけますか?
前田: 創業期であるため、社員は提案活動、案件開拓、採用、組織設計など、会社づくりそのものに深く関わることができます。案件デリバリーだけでなく、事業運営そのものを経験できることは大きな魅力であり、経験や役職を問わず、本人が志向すればセールス・デリバリーの最前線で活躍できる環境です。
―― 具体的なキャリアパスのイメージはありますか?
前田: 当初は「ワンプール制」を採用し、戦略、DX、IT、業務改革など幅広いテーマに挑戦できる環境を整えています。コンサルタントとして最高職位であるプリンシパルを目指していただきますが、デリバリーだけでなく、シニアマネージャー以上になるとセールスのケイパビリティも高めることを期待しています。スタッフクラスでもデリバリークオリティを落とさず、残業時間を調整できればセールスに挑戦することも可能です。ワンプール制により、多様な案件ポートフォリオの中で自分の得意な分野で活躍したり、異なる分野に挑戦してキャリアを広げたりすることが可能です。コンサルティング業務以外にも、会社を立ち上げるフロント業務や経営に関わる機会も豊富にあり、他のファームでは得られない裁量と早期のチャレンジ機会を提供できると考えています。
―― 将来的な組織の展望はいかがでしょうか?
前田: 3年後を目途に、売上・利益、それを支える顧客・人財といった経営基盤を固める期間と位置づけ、幅広いオプションを取れるワンプール組織を目指しています。その後、事業や組織を自ら立ち上げたい意欲と能力のある社員がいれば、インダストリー別(金融、ITハイテクなど)やソリューション別(生成AI、ストラテジーなど)に組織をデリゲートし、社内起業のような形で事業を任せる構想も持っています。うまくいかなかった場合でもワンプールに戻るなど、柔軟なキャリア機会を提供できると考えています。具体的な成長目標として、3年間で売上20億円、コンサルタント55名(全体で60名超)の組織規模を目指しており、既に初年度の事業計画を超過する勢いを見せています。
5. 経営層に選ばれるコンサルタントの要件:コミュニケーション能力
―― 経営層から信頼されるコンサルタントに求められる能力は何でしょうか?
前田: 最も重要なのは「真のコミュニケーション能力」です。それは、単にプレゼンテーション能力が高いことではなく、以下の2つの要素から成ると考えます。一つは「自分が伝えたいことを相手に正しく伝えることができる力」、そしてもう一つは「相手が言いたいこと、または言語化できていない本質を理解し、察することができる力」です。この2つの能力の土台には、プレゼンテーション能力、ファシリテーション能力、ドキュメンテーション能力、そして体系的に考えるロジカルシンキングがあります。
―― 具体的にはどのようなアプローチでしょうか?
前田: 多くのコンサルタントは、クライアントの言葉を完全に受け止めずに自分の経験やプラクティスを押し付けてしまう傾向がありますが、まずはクライアントの言葉を正確に受け止め、共感を示した上で、付加価値の高い提案を行うことが信頼構築の鍵です。経営者の抽象的な悩みを的確に言語化し、「ここまでが本質的な課題ですよね」と正しく整理した上で、「その課題に対して私たちはこう支援できます」と具体的な解決策を提示する。このプロセスこそが、経営者の信頼を獲得し、「右腕」となるための鍵だと考えています。
6. 求める人物像
―― 最後に、貴社が求める人物像についてお聞かせください。
前田: 私たちが求めているのは、単なる優秀なコンサルタントではありません。学歴や経験以上に「人柄」を重視しており、弊社のミッション・ビジョン・バリュー、特に「誠実さ」や「アカウンタビリティ」といったバリューズに合う方を求めています。具体的には、変化を楽しめる柔軟性、看板に依存しない主体性、セールスとデリバリーの両方に向き合う覚悟、そして創業期特有の現場の泥臭さや、事業運営のリアルを理解し、コミットできる方です。大手や安定志向の方とは合わない可能性があり、常に走り続ける意欲のある方を歓迎します。
7. 終わりに
―― 前田様、本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、この記事を読んでいる方々へメッセージをお願いします。
前田: 創業間もないながらも、明確なビジョンと戦略を持つ弊社は、既存の枠にとらわれない新たな価値創造を目指しています。よりコミットし、スピード感を持ってパフォーマンスを出していきたいという方には、ぜひ来ていただきたいと考えています。共に未来を創る仲間をお待ちしています。
インタビュー&コラム一覧へ戻る